東洋蘭とは

日本の多くの方々は、蘭といえば、結婚式やお葬式などで用いられる胡蝶蘭・カトレアなど、豪華で華麗な洋蘭を思い浮かべるでしょう。
しかし、お隣の中国・台湾では違います。蘭といえば、東洋蘭を意味します。

では、東洋蘭とは、どういう蘭だと思われますか。

私は、東洋蘭とは、東洋で産する蘭の仲間の内、趣味者からみて東洋の美を感じさせられる一部の蘭類を示すと考えています。

言い換えれば、日本・中国・台湾・韓国などを原産とする春蘭や寒蘭、蕙蘭(けいらん)、金稜辺蘭、富貴蘭(フウラン)、長生蘭(セッコク)など々です。
東洋の美とは、洋蘭のようにあでやかではないが、東洋人の長い生活習慣の中で育まれてきた美意識で、深く味わいのある崇高な美とでも申しましょうか、眺めていると虜(とりこ)にされてしまうような美です。 それ故に心が癒される美でもあります。

東洋蘭の場合、花だけでなく、葉芸、鉢を含んだ全体の姿、更に富貴蘭のように根も観賞の対象になるものもあります。

語源は、終戦まもない頃、西洋蘭(洋蘭)に対する言葉として使われ始めたようです。そして、長野芳夫氏が昭和二十五年からが発行した機関紙『東洋蘭』により、一般に広がったと思われます。

私は、寒蘭に魅惑されて、とうとう蘭屋さんになってしまったのですが…… 。
つやゝかで流れるような葉に、葉上高く伸びた花茎、それに花間よく付いた、凛とした花の一輪一輪の美しさは、筆舌に尽くし難いものがあります。
また、春蘭には春蘭の、富貴蘭には富貴蘭の、長生蘭には長生蘭の美しさ・良さがあります。

あなたも、一度、蘭を通して東洋の美を覗いてみませんか。 甘い香りのする品種も沢山あります。
お仕事で疲れた心を和ませ、癒してくれると思いますよ。